レンズに、「24-70mm」「50mm」「18-135mm」と書かれています。この「mm」の数字で、何がどう変わるのか。APS-Cのカメラだと、数字を読み替えるといわれるのは、なぜか。そして、自分は何mmのレンズを買えばいいのか——レンズ選びで、いちばん最初に迷うところです。
この記事では、キヤノン・ソニー・ニコン・パナソニックの公式の説明をもとに、焦点距離と画角の関係、24mm・50mm・85mmの画角の目安、APS-Cやマイクロフォーサーズの換算、旅の場面別のmm、自分がよく使う焦点距離の調べ方を整理しました。
- 焦点距離(mm)と画角の関係
- 24mm・50mm・85mmなどの画角の目安(早見表)
- APS-C・マイクロフォーサーズの換算(1.5倍・1.6倍・2倍)
- 旅の場面別の、おすすめの焦点距離
- 自分がよく使っている焦点距離の調べ方
💡 この記事は「mmの数字と見え方」に特化しています。F値・単焦点とズームの違いはレンズ完全ガイド、センサーの大きさの違いはセンサーサイズ比較、旅行用の1本の選び方は旅行用レンズの選び方をご覧ください。
先に結論:数字が小さいほど広く、大きいほど遠くが大きく写る
先に、押さえたいことを4つにまとめます。
1. 焦点距離は、レンズの中心からセンサーまでの距離。ソニーもキヤノンも、そう説明しています。数字が小さいほど、写る範囲が広くなります。
2. 写る範囲は、角度(画角)で表す。50mmの2倍の100mmにすると、写る範囲は1/4になります(キヤノン)。
3. APS-Cやマイクロフォーサーズでは、数字を読み替える。ソニー・ニコンは約1.5倍、キヤノンは約1.6倍、マイクロフォーサーズは2倍です。
4. 買う前に、自分がよく使うmmを調べる。撮った写真のデータ(EXIF)から、わかります。
焦点距離とは、画角とは
ソニーのサポートページは、焦点距離を「レンズの中心点からイメージセンサーまでの距離」、画角を「写る範囲を角度で示したもの」と説明しています。キヤノンも、焦点距離を、ピントを合わせたときの、レンズから撮像素子までの距離としています。
焦点距離が短いほど写る範囲は広く、長いほど狭く、遠くのものが大きく写ります。キヤノンの説明では、50mmの2倍の100mmにすると、写る範囲は1/4になります。
画角は、ふつう「対角線画角」(画面の対角線の角度)で示します(ニコン)。ニコンの案内では、35mmフルサイズ(FX)で焦点距離50mmのレンズの画角は46°です(撮影距離が無限遠のとき)。
焦点距離と画角の早見表(35mmフルサイズ)
| 焦点距離 | 画角(対角線) | 呼び方 | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| 14mm | 約114° | 超広角 | 星空、狭い室内、大きな建物の全景 |
| 24mm | 約84° | 広角 | 風景、街並み、旅の「その場の広がり」 |
| 35mm | 約63° | 広角〜標準 | 街歩きのスナップ、食べ物と周りの様子 |
| 50mm | 約47° | 標準 | 何でも撮れる。見た目に近い写り |
| 85mm | 約29° | 中望遠 | 人物、背景を整理した写真 |
| 135mm | 約18° | 望遠 | 風景の一部の切り取り、動きのある場面 |
| 200mm | 約12° | 望遠 | 遠くの建物・動物・スポーツ |
画角は、35mmフルサイズの画面の対角線(約43.3mm)から、筆者が計算した目安です。実際の値は、レンズの設計で少し変わります(たとえば、ニコンは50mmを46°と案内しています)。「広角」「標準」「望遠」の呼び方にも、公式の決まった線引きはありません。表の呼び方と場面は、筆者の目安です。
APS-C・マイクロフォーサーズでは、読み替える
センサーが、フルサイズより小さいカメラでは、同じ焦点距離でも、写る範囲が狭くなります。この「35mm判換算」の倍率は、メーカーで少し違います。
- ソニー(APS-C):焦点距離の約1.5倍。50mmなら約75mm相当。
- ニコン(DX):約1.5倍。
- キヤノン(APS-C):約1.6倍。50mmなら35mm換算で約80mm相当。フルサイズ機では、レンズ表記のまま(等倍)です。
- パナソニック・OM SYSTEM(マイクロフォーサーズ):2倍。25mmのレンズは、35mm判の50mmと同じ画角(47°)。
| レンズ表記 | APS-Cで使うと(1.5倍/1.6倍) | マイクロフォーサーズで使うと(2倍) | 見え方 |
|---|---|---|---|
| 24mm | 約36mm(×1.5)/約38mm(×1.6) | 約48mm | 広角のつもりが、標準に近くなる |
| 35mm | 約53mm/約56mm | 約70mm | スナップ用の35mmが、標準〜中望遠に |
| 50mm | 約75mm/約80mm | 約100mm | 標準のつもりが、望遠に近くなる |
| 85mm | 約128mm/約136mm | 約170mm | 中望遠が、しっかり望遠に |
換算は、画角の「目安」です。レンズ自体の焦点距離が変わるわけではありません(キヤノン)。センサーの大きさの違いはセンサーサイズ比較で解説しています。
旅の場面別の、焦点距離の目安
| 場面 | 35mm判換算の目安 | 関連記事 |
|---|---|---|
| 街の全景・大きな建物 | 14〜24mm | 広角レンズの選び方 |
| 街歩きのスナップ | 28〜35mm | 街スナップ撮影ガイド |
| 食べ物・旅の記念の人物 | 35〜50mm | 食べ物・グルメ撮影ガイド |
| 人物のポートレート | 50〜85mm | ポートレート撮影ガイド |
| 風景の一部を切り取る | 70〜135mm | 山の撮影ガイド |
| 動物・遠くの被写体 | 200mm以上 | 望遠レンズおすすめ5選 |
| 星空 | 14〜24mm | 星空撮影ガイド |
これは、筆者の目安です。APS-Cやマイクロフォーサーズの場合は、上の換算で、レンズ表記を読み替えてください。
自分がよく使うmmを、調べる
どのmmを買えばいいか迷ったら、いま持っているカメラで撮った写真から、実際によく使っているmmを調べるのが、確実です。撮った写真には、焦点距離のデータ(EXIF)が記録されています。
Lightroom Classicなら、次の手順で、一覧できます(アドビのヘルプ)。
- 「ライブラリ」モジュールで、調べたいフォルダーやコレクションを選ぶ
- 「ライブラリフィルター」で「メタデータ」を選ぶ
- 列のヘッダーをクリックして、メニューから「焦点距離」(EXIFの「レンズ焦点距離」)を選ぶ
- 一覧に、焦点距離ごとの写真の枚数が出る
いちばん枚数が多いmmが、あなたの「いつものmm」です。そこから、広角寄りか、望遠寄りかを見て、次のレンズを決めます。カメラによっては、記録される値が、実際の焦点距離と、換算した値で、異なる場合があります。お使いのカメラで、確認してください。
最初の1本は、ズームで試す
どのmmをよく使うか、まだ分からないうちは、ズームレンズで、いろいろなmmを試すのが近道です。ソニーEマウントのフルサイズ機なら、タムロンの28-75mm F2.8 Di III VXD G2が候補です。タムロンの公式の仕様では、質量540g、広角端28mmから望遠端75mmまで、F2.8の明るさで、簡易防滴構造を備えています。28mmの画角は約75°、75mmは約32°(筆者の計算)で、街歩きから人物まで、ほぼカバーできます。価格.comの新品最安は、約8.9万円(89,380円・2026年10月時点)です。
ソニーのEマウント用です。キヤノンやニコンなど、ほかのマウントのカメラを使っている場合は、マウントを確認してください。APS-Cのカメラで使うと、約42〜112mm相当(1.5倍)の画角になります。ほかのレンズは、旅行用レンズの選び方で比べています。
よくある質問(FAQ)
焦点距離とは、何ですか?
レンズの中心から、イメージセンサー(撮像素子)までの距離のことです(ソニー、キヤノン)。単位はmm(ミリメートル)で、数字が小さいほど広い範囲が写り、大きいほど遠くのものが大きく写ります。
50mmが「標準」と呼ばれるのは、なぜですか?
ニコンの案内では、35mmフルサイズ(FX)で焦点距離50mmのレンズを、標準レンズの例としています。画角は約46°です。ただし、「標準」の線引きに、公式の決まった数字はありません。35mmフルサイズでは50mm前後が、ひとつの目安とされています。
APS-Cの換算は、1.5倍と1.6倍の、どちらですか?
メーカーで違います。ソニーとニコンは約1.5倍、キヤノンは約1.6倍としています。たとえば、50mmのレンズは、ソニーなら約75mm、キヤノンなら約80mm相当の画角になります。マイクロフォーサーズ(OM SYSTEM、パナソニック)は、2倍です。
焦点距離を2倍にすると、写る範囲はどうなりますか?
キヤノンの説明では、50mmの2倍の100mmにすると、写る範囲は1/4になります。幅と高さが、それぞれ半分になるためです。焦点距離が長くなるほど、写る範囲は、急に狭くなります。
自分に合う焦点距離は、どう探せばいいですか?
いま持っているカメラで撮った写真の、焦点距離を調べるのがおすすめです。Lightroom Classicなら、「ライブラリフィルター」の「メタデータ」で、撮影時の焦点距離ごとの枚数を一覧できます(アドビ)。いちばん多く使っているmmが、あなたに合う焦点距離の目安です。
まとめ:mmの数字は「写る範囲」の目安
- 焦点距離が小さいほど広く、大きいほど遠くが大きく写る
- 50mmの2倍の100mmでは、写る範囲は1/4になる
- APS-Cは約1.5倍(キヤノンは約1.6倍)、マイクロフォーサーズは2倍で読み替える
- 買う前に、自分がよく使うmmを、撮った写真から調べる
最後の1本は、ご自分の旅のスタイルに合わせて決めてください。
Tabi