カメラの設定に出てくる「ISO」。数字を上げると明るく写る、とは聞くけれど、上げるとどうなるのか、いくつまで上げていいのかは、よく分からない——この記事では、ISO感度を、「数字の意味」「上げたときに起きること」「シーン別の目安」の順に、表と図で整理します。
ISO感度は、暗い場所で、手ブレや被写体ブレを防ぐための、いちばん手軽な調整です。ただ、上げすぎると、ノイズ(ざらつき)が出ます。このバランスが分かると、夜景や室内、旅先の暗い教会などでも、迷わず設定できます。
- ISO感度の数字の意味(2倍で「1段」)
- 上げると何が起きるか(明るさとノイズ)
- シーン別のISOの目安(筆者の目安)
- ISO AUTOの使い方(上限と低速限界)
- ノイズを減らすコツと、高感度に強いカメラの選び方
💡 この記事は「ISO感度」に特化しています。絞り・シャッタースピードとの3つの関係は露出の三角形、夜景は夜景撮影ガイド、センサーの大きさはセンサーサイズ比較をご覧ください。
先に結論:ISOは「ブレない速さに、必要な分だけ」上げる
1. ISO感度は、写真をどれだけ明るくするかを決める設定です。数字が2倍になるごとに「1段」明るくなり、同じ明るさなら、シャッタースピードを2倍速くできます。
2. 上げるほど、ノイズが出やすくなります。明るい場所では低く、暗い場所では、ブレない速さが確保できるところまで上げる、という考え方です(筆者の考え)。
3. 迷ったら、ISO AUTOに上限を決めて任せる。旅の撮影では、これがいちばん失敗しにくい方法です(筆者の考え)。
ISO感度とは?数字の意味
ISO感度は、写真をどれだけ明るくするかを決める設定です。数字が大きいほど、少ない光でも明るく写せます。ISO 100、200、400……と、2倍ずつ並び、隣り合う数字の差を「1段」と呼びます。
| ISO感度 | 必要な光の量(ISO100を1として) | 同じ明るさで撮れるシャッタースピードの例 |
|---|---|---|
| ISO 100 | 1 | 1/15秒 |
| ISO 200 | 1/2 | 1/30秒 |
| ISO 400 | 1/4 | 1/60秒 |
| ISO 800 | 1/8 | 1/125秒 |
| ISO 1600 | 1/16 | 1/250秒 |
| ISO 3200 | 1/32 | 1/500秒 |
| ISO 6400 | 1/64 | 1/1000秒 |
表は、絞り(F値)と、場面の明るさが同じとき、という前提の、筆者の計算例です。ISO100で1/15秒が必要な場面は、ISO1600なら、1/250秒で同じ明るさになります。1/15秒は手ブレしやすい速さで、1/250秒なら、歩きながらでもブレを抑えやすい速さです。
ISO感度を上げると、何が起きる?
ニコンの公式のオンラインマニュアルでは、ISO感度の数値を上げると、次のことが起きる、と説明されています。
- 同じ絞りで撮る場合、シャッタースピードを速くできる(暗い場所や、動きの速い被写体に役立つ)
- 同じ露出の設定でも、画像が明るくなる
- 画像にノイズ(ざらつき、むら、すじ)が出やすくなる
ノイズが出る理由は、一般に、取り込んだ信号を増幅して明るくするため、暗い部分の小さな信号と、ノイズも、一緒に増えるからだと説明されます。同じISOでも、センサーが大きいカメラのほうが、ノイズが目立ちにくい傾向があります(筆者の考え)。センサーの大きさはセンサーサイズ比較で解説しています。
ISOはいくつにする?シーン別の目安
| シーン | ISOの目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 晴れの屋外(昼) | 100〜200 | 明るいので低く。日陰に入ったら上げる |
| 曇り・日陰・早朝・夕方 | 200〜800 | シャッタースピードが1/125秒を下回りそうなら上げる |
| 室内・美術館・教会 | 800〜3200 | フラッシュ不可の場所が多い。手ブレ補正も頼りにする(美術館・博物館の撮影ガイド) |
| 夜景(三脚あり) | 100〜800 | 三脚があれば低く。長く露光すればよい |
| 夜景・ナイトショー(手持ち) | 1600〜6400 | シャッタースピード1/60秒以上を確保する |
| 星空 | → 別記事 | 秒数とレンズの明るさで大きく変わる(星空撮影のカメラ設定) |
数字は、筆者の目安です。レンズの明るさや、手ブレ補正の有無、カメラの大きさで変わります。ご自分のカメラで、「ここまでなら許せる」という上限を、一度、決めておくと迷いません。
ISOを上げる前に、試す3つのこと
暗くて写りが足りないとき、すぐISOを上げるのではなく、先に、次の3つを試します(筆者の考え)。
- 絞りを開ける(F値を小さくする):多くの光が入ります。明るいレンズ(F2.8以下など)だと、さらに効きます。
- シャッタースピードを遅くする:手ブレ補正があれば、遅い速さでも手ブレを抑えられます。ただし、動く被写体はブレます。
- 三脚や壁で固定する:固定できれば、ISOを低いままで、長く露光できます。
それでも足りないときに、ISOを上げます。3つの関係は露出の三角形で整理しています。
ISO AUTOの使い方|上限と低速限界を決める
旅の撮影では、ISO AUTOに任せて、上限と、ISOが上がり始めるシャッタースピード(低速限界)を決めておくのが実用的です(筆者の考え)。
- 上限:「ここまでなら、ノイズを許せる」という数字です。目安は、フルサイズなら6400、APS-Cやマイクロフォーサーズなら3200ほどです(筆者の目安)。
- 低速限界:ソニーのヘルプガイドでは「ISO AUTO低速限界」で、ISOが上がり始めるシャッタースピードを決められます。標準(STD)は、レンズの焦点距離に応じて、カメラが自動で決めます。ISO AUTOの上限まで上げても露出が足りないときは、設定したシャッタースピードより遅くなります。
- ニコンの場合:ニコンのZ6 IIIのマニュアルでは、感度自動制御の「制御上限感度」と「低速限界設定」で、同じことができます。
たとえば、ソニーのα7C IIは、静止画のISO AUTOが100〜12800で、上限と下限を設定できます(ソニーの仕様)。機種によって、メニューの名前と場所は違うので、説明書で確認してください。
通常の範囲と、「拡張」感度
ISO感度には、通常の範囲のほかに、さらに高い(または低い)「拡張」の範囲を持つカメラがあります。
- Sony α7C II:静止画は、通常ISO 100〜51200、拡張でISO 50〜204800(ソニーの仕様)
- Nikon Z6 III:静止画はISO 100〜64000で、さらに低感度側は約0.3〜1段、高感度側は約0.3〜1.7段の増減感が可能(ニコンの公式マニュアル)
最高感度に近いところは、「どうしても撮りたい」ときの、最後の手段と考えるのが無難です(筆者の考え)。ふだんは、通常の範囲の、できるだけ低いところを使います。
ノイズを減らす5つのコツ
- ISOを必要以上に上げない:ブレない速さが確保できたら、それ以上は上げません。
- 露出を、適正に合わせる:暗く撮ってから、あとで明るくすると、ノイズが目立ちやすくなります(筆者の考え)。
- 高感度ノイズ低減を使う:ニコンのマニュアルでは、高感度ノイズ低減機能を有効にすると、ノイズを抑えられると説明されています。
- RAWで撮り、現像で調整する:現像ソフトのノイズ軽減で、仕上がりを調整できます(RAW現像入門)。
- 機材で解決する:大きなセンサー、手ブレ補正、明るいレンズは、ISOを上げずに済む助けになります。
高感度に強いカメラの選び方
夜景や、暗い室内をよく撮るなら、次の3点を見ます(筆者の考え)。
- センサーが大きい:同じISOでも、一般に、ノイズが目立ちにくい傾向があります(画素数や世代でも変わります)。
- ボディ内の手ブレ補正:遅いシャッタースピードで撮れるので、ISOを上げずに済みます。
- 明るいレンズが使える:F値が小さいレンズは、ISOを上げる量を減らせます。
この条件で、旅に持ち出しやすいのが、Sony α7C IIです。35mmフルサイズ(35.9×23.9mm)のセンサーで、静止画のISOは100〜51200(拡張50〜204800)、重さは約514g(バッテリー・メモリーカード込み)です。価格は20万円台で、店によって変わります。詳しくはα7C IIレビュー、α7 IVとの比較はα7C II vs α7 IVをご覧ください。
出典(公式の説明):ニコン Z6 III オンラインマニュアル(ISO感度)/ソニー ヘルプガイド(ISO AUTO低速限界)/ソニー α7C II 主な仕様。メニュー名や仕様は、機種やファームウェアで変わることがあります。
よくある質問(FAQ)
ISO感度とは、何ですか?
写真をどれだけ明るくするかを決める設定です。数字が大きいほど、少ない光でも明るく写せます。ただし、上げるほど、画像にノイズ(ざらつき)が出やすくなります。
ISO感度は、低いほうがいいですか?
明るい場所なら、低いほうがノイズは少なくなります。ただ、暗い場所で低いISOのままだと、シャッタースピードが遅くなり、手ブレや被写体ブレが起きます。ブレた写真は、あとで直せません。「ブレない速さが確保できる、いちばん低いISO」にするのが基本です(筆者の考え)。
ISO AUTOは、使っていいですか?
使って構いません。旅の撮影では、むしろ実用的です(筆者の考え)。上限と、ISOが上がり始めるシャッタースピード(低速限界)を決めておくと、ノイズが出すぎるのを防げます。くわしくは、この記事の「ISO AUTOの使い方」をご覧ください。
ISO100とISO200で、画質は大きく変わりますか?
一般に、低い側の1段の差は、高い側(たとえばISO3200とISO6400)の1段の差より、目立ちにくいとされます(筆者の考え)。気になる場合は、お使いのカメラで、同じ場面を撮り比べてみてください。
夜景や暗い室内は、ISOをいくつにすればいいですか?
三脚があれば、低いISO(100〜800)で長く露光できます。手持ちなら、ISO1600〜6400で、シャッタースピード1/60秒以上を確保するのが目安です(筆者の目安)。夜景は夜景撮影ガイド、星空は星空撮影のカメラ設定で、くわしく解説しています。
まとめ:ISOは、ブレない速さに必要な分だけ
- ISOは、写真を明るくする設定。2倍で「1段」
- 上げるほど、シャッタースピードは速くできるが、ノイズは増える
- 先に、絞り・シャッタースピード・固定を試し、足りなければISOを上げる
- 迷ったら、ISO AUTOに、上限と低速限界を決めて任せる
最後は、ご自分のカメラで、「ここまでなら許せる」というISOの上限を、一度、確かめてみてください。
Tabi