「型落ちを狙えば安く買える」——カメラ選びでよく言われることです。私も基本的にはそう思っています。ただ、実際に価格を並べてみたところ、組み合わせによって差が3倍近く違うことが分かりました。差が8万円を超えるペアもあれば、3万円台にとどまるペアもあります。そのうえ1組は、前世代機の新品がすでに売り場から消えていました。
この記事では、2026年8月時点のAmazon実売価格を1台ずつ調べ、「現行機とその前世代機」を4組並べました。数字を見れば、どの型落ちが本当に狙い目で、どれは無理に古いモデルを選ぶ必要がないかがはっきりします。
- 現行機と前世代機の価格差を実測した4組の比較表
- 差額が大きい「狙い目の型落ち」2機種
- 型落ちを選ばないほうがいいケース
- 中古まで手を出すべきかどうかの判断基準
💡 この記事は「型落ちと現行機の価格差」に特化しています。新品10万円以下の現行機から選びたい方は10万円以下ミラーレスおすすめ5選、中古で買うときの状態の見方は中古カメラの選び方をご覧ください。
先に結論:狙い目は2機種だけ
4組を実測した結論から書きます。型落ちを選ぶ価値が明確にあるのは、Sony α6400 と Nikon Z50 の2機種です。現行機との差は、前者が81,800円、後者が49,301円ありました。
一方、Sony ZV-E10 のように差が3万円台にとどまるものもあります。この場合、あえて古いモデルを選ぶ理由は価格以外に求めることになります。
そして4組目の富士フイルムでは、前世代機の新品がすでに買えなくなっていました。値下がりを待つことには、こういう終わり方もあります。
「型落ちだから安い」ではなく、その機種が発売から何年経っているかで差額が決まります。
実測:現行機と前世代機の価格差
2026年8月時点のAmazon実売価格です。すべて同じ日に、ボディ単体(レンズなし)の価格を確認しました。
| 現行機 | 価格 | 前世代機 | 価格 | 差額 |
|---|---|---|---|---|
| Sony α6700(2023) | 187,600円 | Sony α6400(2019) | 105,800円 | −81,800円 |
| Nikon Z50 II(2024) | 134,800円 | Nikon Z50(2019) | 85,499円 | −49,301円 |
| Sony ZV-E10 II(2024) | 115,191円 | Sony ZV-E10(2021) | 79,460円 | −35,731円 |
| Fujifilm X-T30 III(2025) | 153,978円 | Fujifilm X-T30 II(2021) | 新品終了・中古のみ | — |
※2026年8月時点のAmazon実売価格(ボディ単体)。すべて新品の価格で、中古価格は含めていません。価格は変動するため、購入時に最新の価格をご確認ください。
同じ「1世代前」でも、差額は5万円近く違います。この差がどこから来るのかを、次に説明します。
差額を決めているのは「発売からの年数」
表を発売年で並べ直すと、規則性が見えてきます。
α6400とZ50は、どちらも2019年発売です。登場から7年が経ち、値下がりの時間が十分にありました。差額が5万〜8万円に開いたのは、そのためです。
対してZV-E10は2021年発売の5年落ち。下げ幅は35,731円にとどまります。後継のZV-E10 IIが出たのは2024年ですが、前世代機がまだ売り場に残っているぶん、値下がりはこれからという段階です。
つまり「型落ちかどうか」ではなく「発売から何年経ったか」が価格を決めています。後継機が出た直後に旧モデルへ飛びつくと、待てば下がる価格で買うことになりかねません。
狙い目①:Sony α6400 — 8万円差でAFが手に入る
4組の中で最も差額が大きいのがα6400です。現行のα6700が18.7万円に対して10.5万円。差額は81,800円で、レンズが1本買えるほどの開きがあります。
2019年の機種ですが、リアルタイム瞳AFと動物瞳AFを搭載しており、AF性能はいまの基準でも十分実用的です。旅先で子どもやペットを撮る場面、動きのある被写体を追う場面で、この世代のソニーAFは頼りになります。180度チルト式の液晶で自撮りにも対応します。
正直に書くと、ボディ内手ぶれ補正は非搭載です。ここがα6700との大きな差で、暗所や動画では不利になります。ただ、手ぶれ補正付きのレンズを選ぶか、明るい時間帯の撮影が中心なら、8万円の差を払ってまで現行機を選ぶ必要は感じません。
💡 α6400と現行α6700の詳しい違いはSony α6400 vs α6700 比較にまとめています。
狙い目②:Nikon Z50 — 8.5万円で買えるAPS-C
もう1つの狙い目がZ50です。現行のZ50 IIが13.4万円に対して8.5万円。差額は49,301円あります。
2088万画素のAPS-Cセンサーに、深く握れるグリップを組み合わせた機種です。ニコンZシリーズのグリップは型落ちでも作りが変わらず、望遠レンズを付けたときの安定感は現行機と同じものが手に入ります。旅先で一日中提げて歩く機材としては、この持ちやすさが効いてきます。
Z50 IIとの主な違いは、画像処理エンジン(Z50 IIはEXPEED 7)と被写体検出の賢さ、そして背面モニターの方式です。Z50はチルト式、Z50 IIはバリアングル式。動きの速い被写体を追い続けたい方や、自撮りしながら動画を撮る方は現行機を選んでください。風景や街のスナップが中心なら、この世代で困る場面は多くありません。
差が小さい組は、価格以外の理由で選ぶ
ZV-E10は、差額が3万円台にとどまりました。この金額をどう見るかですが、私は「価格だけを理由に型落ちを選ぶには足りない」と考えています。
ただし、価格以外の理由があるなら話は別です。
Sony ZV-E10(7.9万円)は、後継のZV-E10 IIと比べてセンサーと動画性能が一世代前ですが、Vlog向けの基本機能はほぼ同じです。予算を8万円以内に収めたい、浮いた3.5万円をレンズやジンバルに回したい——そういう配分なら選ぶ意味があります。
待ちすぎると買えなくなる:富士フイルムで起きていたこと
今回いちばん考えさせられたのが、4組目の富士フイルムでした。
X-T30 II(2021年発売)の後継、X-T30 IIIが出たのは2025年11月です。「後継機が出たから、そろそろX-T30 IIが下がるはず」——そう考えたくなるところですが、実際に調べるとX-T30 IIは新品の取扱店舗が見当たらない状態になっていました。価格比較サイトでも新品の価格が登録されていません。
残っているのは中古で、実売は13.2万円前後。対して現行のX-T30 IIIは新品で15.4万円です。差はおよそ2.2万円しかありません。
ここで中古を選ぶ理由は、私にはあまり見つかりませんでした。2.2万円を浮かせる代わりに、メーカー保証もシャッター回数の履歴もない個体を引き受けることになります。旅先で不調が出たときに困るのは自分です。
ここから言えること
型落ちの値下がりには終わりがあります。下がりきる前に新品の在庫が消え、そのあとは中古しか残りません。「もう少し待てばもっと安くなる」と粘りすぎると、選択肢そのものがなくなる——これが実測してわかった、いちばん実務的な注意点でした。
型落ちを選ばないほうがいい3つのケース
正直に書きますが、型落ちが向かない場面もあります。
①暗い場所での撮影が多い場合。ボディ内手ぶれ補正の有無は、夜景や室内で明確に効いてきます。α6400もZ50も非搭載なので、ここを重視するなら現行機を選んでください。
②動画が主目的の場合。動画性能は世代差が出やすい部分です。4K60pや長時間記録が必要なら、価格差を払う価値があります。
③後継機が出たばかりの機種。先ほどの表のとおり、後継機の登場から日が浅いと値下がりが進んでいません。もう半年から1年待てば、同じ機種がさらに安くなる可能性があります。
中古まで手を出すべきか
「新品の型落ちより、中古のほうがもっと安いのでは」と考える方もいると思います。
ここも実際に調べました。α6400の中古実売はおよそ7万〜10万円(2026年7月時点の相場調査)。新品が10.58万円なので、状態の良い個体を選ぶと新品との差は数万円程度にとどまります。
数万円の差のためにシャッター回数や外観の状態を確認する手間と、保証が短くなるリスクを負うかどうか。私は「初めての1台なら新品の型落ち」をおすすめします。2台目以降で状態を見る目がある方なら、中古も十分ありです。
💡 中古を検討する場合は中古カメラの選び方で、状態の確認方法と店選びのポイントを解説しています。
よくある質問
型落ちカメラはどれくらい安くなりますか?
機種によって大きく違います。2026年8月時点の実測では、Sony α6400が現行α6700より81,800円、Nikon Z50がZ50 IIより49,301円安い一方、Sony ZV-E10は35,731円差にとどまりました。前世代機の発売から年数が経っているほど値下がりが進んでいます。
型落ちで一番おすすめの機種は?
Sony α6400です。現行機との差額が最も大きく、リアルタイム瞳AFなど今でも実用的な機能を備えています。ニコンのグリップや操作性が好みならNikon Z50も49,301円差で狙えます。
型落ちは新品と中古のどちらで買うべき?
初めての1台なら新品の型落ちをおすすめします。α6400の場合、中古実売が約7万〜10万円で新品10.58万円との差は数万円程度。状態確認の手間と保証の短さを考えると、差額に見合わない場合が多いためです。
型落ちを避けたほうがいいのはどんなとき?
夜景や室内など暗い場所の撮影が多い場合、動画が主目的の場合、そして後継機が出たばかりの場合です。前の2つはボディ内手ぶれ補正と動画性能の世代差が効き、最後のケースはもう少し待てば値下がりが期待できます。
まとめ
「型落ちは安い」は、機種を選べば本当です。ただしどの型落ちでもいいわけではありません。発売から7年経った機種は5万〜8万円安くなる一方、5年落ちではまだ3万円ほどしか変わりませんでした。
2026年8月時点で狙うなら、Sony α6400(−81,800円)かNikon Z50(−49,301円)。浮いた金額でレンズを1本足せます。ボディの世代を1つ落としてレンズに回すほうが、旅の写真は確実に良くなります。
逆に、暗所や動画を重視するなら現行機を選んでください。差額は手ぶれ補正と動画性能への対価です。そこに価値を感じるなら、それは無駄な出費ではありません。
そして富士フイルムで見たとおり、待ちすぎれば新品そのものが売り場から消えます。狙いを定めたら、値下がりの底を当てにいかず、納得できる価格で決めてしまうことをおすすめします。
Tabi