「カメラの設定に『RAW』という項目があるけど、JPEGと何が違うの?」——多くの人がカメラを買って最初にぶつかる疑問です。結論から言うと、RAWは「現像前の生データ」、JPEGは「カメラが仕上げ済みの完成品」という違いがあり、どちらが優れているというより、旅先での使い方次第で向き不向きが変わります。
私はカメラと旅が好きで、世界一周、30カ国以上をRAW・JPEGを使い分けながら撮影してきました。実際に両方を使い比べて感じた違いを、画質・容量・編集耐性・手間の4つの軸で整理します。Lightroomでの実際の現像手順を知りたい方はRAW現像入門もあわせてどうぞ。
- RAWとJPEGそれぞれの仕組みと違い
- 画質・ファイルサイズ・編集耐性の比較
- RAW+JPEG同時記録という選択肢
- 旅行シーン別にどちらで撮るべきか
- 必要なSDカード容量の目安
- よくある質問(FAQ)
似たテーマの記事との使い分け
- この記事:RAWとJPEGそのものの違い(画質・容量・編集耐性)に特化
- RAW現像入門:RAWを選んだ後、実際にLightroomで現像する手順を知りたい場合に
- SDカードおすすめ5選:RAW撮影に耐える容量・速度のカードを選びたい場合に
- 写真バックアップ術:撮影後のRAWデータの保管・バックアップ方法を知りたい場合に
RAWとは
RAWは、カメラのセンサーが受け取った光の情報を、ほぼ加工せずそのまま記録したファイル形式です。「生(なま)データ」という名前の通り、色・明るさの調整がまだ行われていない、いわば「現像待ちのネガフィルム」のような状態です。拡張子はメーカーごとに異なり、CanonはCR3、NikonはNEF、SonyはARWなどを採用しています。
RAWは撮影後にLightroomなどの現像ソフトで「現像」して初めて、JPEGなど閲覧可能な形式として書き出されます。この一手間がある代わりに、後述する高い編集自由度が得られます。
JPEGとは
JPEGは、カメラ内部で「現像」まで自動的に済ませ、圧縮した状態で書き出す完成品のファイル形式です。撮影した瞬間からそのままSNS投稿・印刷・共有に使え、追加の作業が一切不要なのが最大の特徴です。ほぼすべてのデバイス・サービスで表示できる汎用性の高さも強みです。
画質の違い
RAWとJPEGでは、記録できる情報量そのものが異なります。
- 色情報(ビット深度):RAWは12〜14bit(数千億〜1兆通り以上の色)、JPEGは8bit(約1677万色)が一般的。RAWの方が滑らかなグラデーションを記録できる
- 圧縮:JPEGは「非可逆圧縮」でデータを間引くため、保存のたびに画質がわずかに劣化する。RAWは圧縮していない(または可逆圧縮)ため劣化しない
- 階調(ダイナミックレンジ):RAWは明部・暗部の情報をより多く保持しており、白飛び・黒つぶれからの復元余地が大きい
ただし、これらの違いはSNS投稿サイズで見る分にはほとんど気づかれません。差が出るのは「編集で追い込むとき」と「大きく引き伸ばして印刷するとき」です。
ファイルサイズの違い
RAWはJPEGの2〜4倍程度のファイルサイズになるのが一般的です。2400万画素クラスのカメラを例にすると、目安は次の通りです。
| 形式 | 1枚あたりの目安 | 256GBで撮れる枚数目安 |
|---|---|---|
| RAW | 25〜50MB | 約5,000〜10,000枚 |
| JPEG(高画質) | 8〜15MB | 約17,000〜32,000枚 |
| RAW+JPEG | 33〜65MB | 約4,000〜7,700枚 |
数値はカメラの画素数・圧縮設定により変動しますが、いずれにしても256GBクラスの大容量カードなら、1〜2週間の旅行でRAW撮影しても容量不足になることはほぼありません。
編集耐性の違い
最も体感差が大きいのがこのポイントです。RAWは情報量が多いため、撮影時の失敗をかなりの範囲まで編集で救済できます。
- 露出ミス:RAWなら±1〜2段程度の明るさ補正でも画質劣化が少ない。JPEGは1段補正しただけでノイズや色の破綻が出やすい
- ホワイトバランスのズレ:RAWは撮影後に色温度を自由に再設定できる。JPEGは大きく調整すると不自然な色になりやすい
- 白飛び・黒つぶれ:RAWは明部・暗部の情報を多く保持しているため、ある程度復元できる。JPEGは失われた情報を復元できない
「その場の設定が完璧」ならJPEGでも十分ですが、「後から追い込みたい」「逆光や暗所などミスしやすい条件」ではRAWの余裕が効いてきます。
撮影後の手間の違い
JPEGは撮ってすぐ使える手軽さが最大の魅力です。現像ソフトを開く必要もなく、カメラやスマホからそのままSNSに投稿できます。一方RAWは、必ず現像という一手間が必要で、Lightroomなどのソフトと、ある程度の編集スキル・時間が求められます。「旅の記録をその日のうちにSNSへ」というスタイルの方には、JPEGの手軽さは大きなメリットです。
RAW+JPEG同時記録という選択肢
多くのミラーレスカメラには「RAW+JPEG」の同時記録モードがあります。1回のシャッターで両方のファイルが保存されるため、その場ではJPEGをすぐSNSに使いつつ、後で「この写真だけは本気で編集したい」と思ったカットだけRAWを現像する、という柔軟な運用ができます。デメリットはファイルサイズが増えることだけなので、大容量SDカードと組み合わせれば旅行中はこの設定にしておくのが最もバランスが良い選択です。
旅行シーン別 どちらで撮るべきか
SNSにその場で投稿したい・記録がメイン
JPEGで十分です。容量も節約でき、現像の手間もかかりません。
夜景・逆光・暗所など失敗しやすい条件
RAWがおすすめです。露出やホワイトバランスの調整余地が、仕上がりの差につながります。
帰国後にじっくり編集して作品として残したい
RAWが最適です。色調整やトリミングの自由度が高く、プリントや大きな画面での鑑賞にも耐えます。
どちらか決めきれない
RAW+JPEG同時記録にしておけば、後から悩む必要がありません。迷ったらまずこの設定にしておくのが安全です。
必要なSDカード容量の目安
RAW+JPEG同時記録で1週間以上の旅行に行く場合、256GB以上のカードを1〜2枚用意しておくと安心です。書き込み速度はV30(30MB/s)以上に対応したカードを選ぶと、連写やRAW撮影時にもたつきを感じにくくなります。詳しい機種比較はSDカードおすすめ5選で解説しています。
RAWを選んだ方はRAW現像入門でLightroomの基本ワークフローを、撮影後のデータ管理に不安がある方は写真バックアップ術もあわせてご覧ください。
まとめ
RAWとJPEGの違いをまとめます。
- RAW:情報量が多く編集耐性が高いが、現像の手間とファイルサイズが増える
- JPEG:撮ってすぐ使える手軽さと汎用性が強みだが、編集の余地は小さい
- RAW+JPEG同時記録:両方の良さを両立できる、迷ったときの安全な選択肢
- 容量目安:RAW+JPEGで256GB以上のカードがあれば1〜2週間の旅行でも安心
「どちらが正解か」ではなく、旅先での撮り方・帰国後の使い方次第で選べば十分です。迷ったらRAW+JPEG同時記録から始めてみてください。
よくある質問(FAQ)
RAWとJPEG、結局どちらで撮ればいいですか?
後から編集する予定があるならRAW、撮ってすぐSNSやプリントに使いたいならJPEGが基本です。迷う場合はRAW+JPEG同時記録にしておけば、その場ではJPEGを使いつつ、後で必要になったときだけRAWを現像するという柔軟な運用ができます。
RAW+JPEG同時記録にデメリットはありますか?
1枚の撮影で2つのファイルが記録されるため、SDカードの消費量がRAW単体より増える点がデメリットです。256GBなど大容量カードと組み合わせれば、旅行中の容量不足はほぼ回避できます。連写撮影が多い場合はカードの書き込み速度(V30以上推奨)にも注意してください。
RAWファイルはどのソフトで開けますか?
Adobe Lightroom・Photoshop、各カメラメーカー純正の現像ソフト(Canon Digital Photo Professional、Sony Imaging Edgeなど)、無料のRawTherapeeやDarktableなどで開けます。ただしRAWの拡張子はメーカーごとに異なる(.CR3、.NEF、.ARWなど)ため、対応ソフトかどうかは事前に確認しましょう。
Tabi