一年で最初の日の出。せっかく早起きして寒い中を出かけるのに、撮れた写真が真っ白に飛んでいたり、太陽が米粒みたいに小さかったり——もったいない思いをした方は多いと思います。
初日の出の撮影は、普段の風景写真とは少し違います。当日その場でやり直しがきかないからです。この記事では、国立天文台のデータで確認した2027年元日の日の出時刻からはじめて、場所選び、スマホとカメラそれぞれの設定、そして安全上の注意までまとめます。
- 2027年元日の日の出時刻(主要都市・国立天文台のデータ)
- 何時に現地へ着けばいいか——「日の出時刻」の落とし穴
- スマホで白飛びさせない設定(いちばん多い失敗)
- カメラの設定と、太陽を大きく写す方法
- 目とカメラを守るための注意点
💡 この記事は「元日の初日の出」に特化しています。普段の朝日・夕日の撮り方や、マジックアワー全般は夕日・朝日撮影ガイドをご覧ください。
2027年元日の日の出時刻(国立天文台のデータ)
まず時刻です。「だいたい7時頃」と覚えている方が多いのですが、地域によって30分以上ずれます。国立天文台の暦計算室で2027年1月1日を確認した数字がこちらです。
| 地点 | 日の出 |
|---|---|
| 千葉・水戸 | 6:49 |
| 東京・根室 | 6:50 |
| 仙台 | 6:53 |
| 甲府 | 6:55 |
| 盛岡 | 6:56 |
| 秋田 | 7:00 |
| 青森 | 7:01 |
| 京都・大阪 | 7:05 |
| 高知 | 7:10 |
| 岡山 | 7:11 |
| 宮崎 | 7:14 |
| 鹿児島 | 7:17 |
| 熊本 | 7:19 |
| 福岡 | 7:23 |
いちばん早い千葉・水戸の6:49と、いちばん遅い福岡の7:23では34分の差があります。「7時くらいでしょ」と構えていると、関東では完全に出遅れます。
面白いのは根室と東京が同じ6:50であること。根室は日本の最東端に近いので早いはずですが、北にあるぶん冬は日の出が遅くなり、ちょうど相殺されています。
※国立天文台 暦計算室の2027年1月1日のデータ(各地点の日の出時刻)。地平線まで見渡せる条件での計算値です。山やビルがあると実際に太陽が見える時刻は遅くなります。
現地には「日の出の45分前」に着いてください
ここが初日の出でいちばん多い失敗です。日の出時刻は「太陽が顔を出す瞬間」であって、「撮影を始める時刻」ではありません。
45分前到着をおすすめする理由は3つあります。
1. 有名スポットは場所が埋まります。元日の日の出スポットは、普段の何十倍も人が来ます。直前に着いても、前に人の頭が並ぶ場所しか空いていません。
2. 空が焼ける時間を逃します。実は太陽が出る前の15〜30分がいちばん空が色づきます。日の出時刻に着くということは、その一番おいしい時間を見逃すということです。
3. 暗い中で機材を触ることになります。到着が遅れると、焦りながら手がかじかんだ状態で設定をいじることになります。余裕を持って着いて、明るくなる前に準備を終えるのが確実です。
スマホの設定——白飛びさせないために
スマホでいちばん多い失敗が「太陽が白い塊になる」ことです。原因ははっきりしていて、スマホが自動で明るさを合わせてしまうからです。
対処は簡単です。画面の明るい部分(太陽の近く)をタップし、出てきたスライダーを下げる。これだけです。全体が暗くなりますが、それでいいのです。太陽の形と空のグラデーションが残り、手前の風景はシルエットになります。初日の出らしい写真はこの状態で撮れます。
その他のポイントです。
- HDRはオンのままで構いません。明暗差の大きい場面で効く機能です
- ナイトモードは不要です。日の出前の暗い時間帯には有効ですが、太陽が出てからは明るすぎて働きません
- ズームは控えめに。スマホのデジタルズームは画質が落ちます。太陽を大きく写すより、景色の中に入れた構図の方がきれいに残ります
日の出前の暗い時間を撮るなら、スマホの設定はイルミネーションのスマホ撮影ガイドで解説したナイトモードの使い方がそのまま応用できます。
カメラの設定——マイナス補正が基本
一眼レフ・ミラーレスの場合も考え方は同じで、カメラが「明るくしよう」とするのを止めてあげるのが基本です。
| 項目 | 設定の目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 露出補正 | −0.7〜−1.7EV | 太陽の白飛びを抑え、空の色を残す |
| 撮影モード | 絞り優先(A/Av) | 明るさが刻々と変わるので自動で追従させる |
| 絞り | F8〜F11 | 風景全体にピントを合わせる。F16前後にすると太陽が光条になる |
| ISO感度 | 100〜400 | 日の出後は明るいので低めで足りる |
| ホワイトバランス | 「曇り」または「日陰」 | 赤みが強まり、朝焼けらしい色になる |
| 記録形式 | RAW+JPEG | 明暗差が大きいので後から調整できる余地を残す |
オートホワイトバランスのままだと、カメラが赤みを「色かぶり」と判断して打ち消してしまい、せっかくの朝焼けが地味になります。「曇り」に固定するだけで印象が変わります。
太陽を大きく写すなら望遠が要ります
「もっと大きく、真っ赤な太陽を撮りたい」——よくある希望ですが、これは技術ではなく焦点距離で決まります。
目安として、35mm換算で200mmでも太陽はまだ小さく、300mm以上でようやく「大きい太陽」になります。スマホの望遠カメラでは届きません。キットレンズの望遠端(55mmや135mm)でも物足りないはずです。
逆に言えば、標準レンズしかない場合は太陽を主役にしない構図——海や山、鳥居、ビル群を入れて、その中に光が差し込む絵——にした方が、満足のいく写真になります。無理に寄らない判断も大事です。
目とカメラを守るために——必ず読んでください
楽しい話の途中ですが、ここだけは飛ばさないでください。
光学ファインダーをのぞいて太陽を見続けないでください。一眼レフの光学ファインダーはレンズが集めた光がそのまま目に入ります。望遠レンズをつけていればなおさらで、目を痛める危険があります。ミラーレスや背面モニターでの撮影なら、この危険はありません。
レンズを太陽に向けたまま放置しないでください。長時間向け続けると、集まった光でセンサーやシャッター幕を傷めることがあります。構図を決めたら、撮るまではレンズキャップをしておくか、少し向きをずらしておくのが安全です。
太陽が低い位置にある日の出直後はリスクが比較的小さいですが、昇って明るくなってからは特に注意してください。肉眼で「まぶしい」と感じたら、ファインダーで見るのはやめるタイミングです。
寒さ対策——バッテリーは必ず減ります
元日の早朝は、一年で最も寒い時間帯のひとつです。気温が下がるとバッテリーは電圧を出せなくなり、残量表示があっても止まります。
対策は3つです。
- 予備バッテリーを内ポケットに入れる。体温で温めておくと復活します。カバンの外ポケットでは意味がありません
- カメラ本体も、待機中は上着の内側に。構える直前まで冷やさない
- 手袋は「指が出せるタイプ」を。厚手の手袋ではダイヤルもスマホも操作できません
寒さと結露の詳しい対策は雪・冬景色の撮影ガイドにまとめています。暖かい室内や車内に戻ったときの結露は、カメラにとって寒さより厄介です。
手ブレ対策——暗い時間こそ効きます
日の出の前後は想像以上に暗く、シャッタースピードが落ちます。手持ちだとブレやすい時間帯です。
とはいえ、混雑する初日の出スポットに大きな三脚を持ち込むのは現実的ではありません。場所によっては禁止されています。手すりや柵に置ける小型のもので十分です。
よくある質問
初日の出は何時に現地に着けばいいですか?
日の出時刻の45分前をおすすめします。日の出時刻は「太陽が顔を出す瞬間」であって撮影開始時刻ではありません。有名スポットは場所が埋まりますし、実は太陽が出る前の15〜30分がいちばん空が色づく時間帯です。2027年元日なら、東京は6:50、福岡は7:23が日の出時刻です(国立天文台)。
スマホで太陽が白く飛んでしまいます。どうすればいいですか?
画面の明るい部分をタップし、出てきたスライダーを下げてください。スマホが自動で全体を明るくしようとするのが原因です。全体は暗くなりますが、太陽の形と空のグラデーションが残り、手前の風景がシルエットになって初日の出らしい写真になります。
カメラの露出補正はどのくらいにすればいいですか?
−0.7〜−1.7EVが目安です。明るさが刻々と変わるので絞り優先(A/Av)にして、絞りはF8〜F11、ISOは100〜400。ホワイトバランスを「曇り」に固定すると赤みが強まり、朝焼けらしい色になります。オートのままだとカメラが赤みを打ち消してしまいます。
太陽を大きく写すには何ミリのレンズが必要ですか?
35mm換算で200mmでも太陽はまだ小さく、300mm以上でようやく「大きい太陽」になります。スマホの望遠カメラやキットレンズの望遠端では届きません。標準レンズしかない場合は、太陽を主役にせず海や山、鳥居などを入れた構図にした方が満足度の高い写真になります。
太陽を撮るときに気をつけることはありますか?
一眼レフの光学ファインダーをのぞいて太陽を見続けないでください。レンズが集めた光がそのまま目に入り、目を痛める危険があります。またレンズを太陽に向けたまま放置すると、センサーやシャッター幕を傷めることがあります。構図を決めたら、撮るまではキャップをするか向きをずらしておくのが安全です。
寒さでバッテリーが切れないか心配です。
気温が下がるとバッテリーは電圧を出せなくなり、残量表示があっても止まります。予備バッテリーを内ポケットに入れて体温で温めておくと復活します。カメラ本体も待機中は上着の内側に入れ、手袋は指が出せるタイプを選んでください。
まとめ
初日の出の撮影は、当日やり直しがきかないのがすべてです。だからこそ準備で差がつきます。
①日の出時刻を地域で確認する(東京6:50・福岡7:23、34分も違います) ②その45分前に着く ③スマホもカメラも「暗めに撮る」。この3つで、ほとんどの失敗は防げます。
そして、ファインダーで太陽を見続けないこと。写真よりも目の方が大事です。よい一年の始まりになりますように。
Tabi