「星がきれいだったのでスマホで撮ったのに、真っ黒」「撮れたと思ったら、ただのザラザラした暗い写真だった」——星空をスマホで撮ろうとして、がっかりした経験のある方は多いと思います。
先に言っておくと、スマホでも星空は撮れます。ただし、日中や夜景と同じ感覚で構えると、ほぼ確実に失敗します。星空には、はっきりした「条件」と「やってはいけないこと」があるからです。この記事では、AppleとGoogleの公式ヘルプに書かれている内容に沿って、iPhoneとAndroid(Pixel)の撮り方を整理します。
- スマホで星空を撮るのに必要な「3つの条件」
- iPhoneのナイトモードで星を撮る手順(Apple公式)
- Pixelの「天体写真」モードの使い方(Google公式)
- 手持ちが絶対にだめな理由と、固定の仕方
- スマホで撮れる星と、撮れない星の線引き
💡 この記事は「スマホ」に特化しています。一眼レフ・ミラーレスでのISO・シャッタースピード・ピントの設定は星空撮影の設定ガイドを、夜景全般は夜景撮影ガイドをご覧ください。
先に結論:「暗い場所」「固定」「夜景モード」の3つだけ
設定を細かくいじる前に、これだけ守ってください。
1. 街の明かりが少ない場所へ行く。これは機材では補えません。スマホのせいではなく、空が明るすぎて星が見えていないだけ、というケースがとても多いのです。
2. スマホを固定する。手持ちは使わない。星空は数秒から数十秒かけて光を集めます。手で持っている限り、必ずブレます。
3. 夜景モード(ナイトモード)を使う。iPhoneは自動で入り、Pixelは「天体写真」まで進められます。通常の写真モードのままでは、星はほとんど写りません。
この3つが逆になる——つまり、明るい場所で、手持ちで、通常モードで撮る——ことが、よくある失敗のほとんどです。
スマホで撮れる星、撮れない星
期待しすぎて落胆しないよう、先に線引きをしておきます。
| 被写体 | スマホで | ひとこと |
|---|---|---|
| 月・明るい惑星 | ◎ 撮れる | 明るいので暗所の工夫が少なくて済む。ただし月は白く飛びやすい |
| 星座(オリオン座など) | ○ 条件がそろえば | 暗い場所と固定が前提。明るい星から写る |
| 満天の星・天の川 | △ かなり条件を選ぶ | 空が暗い場所と、星空向けの機能が必要。一眼ほど暗い星は拾えない傾向 |
| 星の軌跡・流星 | × 向かない | 長時間の連続撮影や、いつ現れるか分からない被写体はスマホ向きではない |
最後の行は正直にお伝えします。星の軌跡や流れ星を狙うなら、カメラのほうが圧倒的に有利です。スマホの強みは「思い立ったらポケットから出してすぐ撮れる」ことで、そこを活かす撮り方を考えるのが現実的です。流れ星の撮り方はふたご座流星群の撮り方【2026年】で整理しています。
どこで撮るか——街明かりが全てを決める
Googleの公式ヘルプには、天体写真を撮るときの条件がこう書かれています。
「撮影する際には、街の明かりが少ない場所に移動してください。星の写真は、日没から 45~90 分以上経ってから撮影するようにします。」
ここで大事なのは「日没から45〜90分以上」という時間です。日が沈んだ直後は、空にまだ光が残っています。完全に暗くなるまで待たないと、どんな機能を使っても星は浮かびません。
場所選びの目安は、肉眼でまず星が見えるかどうかです。目で見えない星は、スマホにはほぼ写りません。街の近くでは、見える星の数が限られます。山、海沿い、離島、キャンプ場などの暗い場所に行くほど、写る星は劇的に増えます。
旅先なら、宿泊地を選ぶ段階で「周りに明かりが少ないか」を見ておくのが、いちばん効果の大きい準備です。
iPhoneで星を撮る——ナイトモードを「最大」にする
Apple公式によれば、ナイトモードはiPhone 11以降で使えます。暗い場所では自動で切り替わり、画面上部のナイトモードのアイコンが黄色くなります。
ここからが星空に必要な手順です。Appleの公式手順はこうです。
「ナイトモードで長時間露光撮影を試すには、ファインダーの上にある矢印をタップします。ファインダーの下に表示されるナイトモードのボタンをタップして、シャッターボタンの上にあるスライダを動かして『最大』を選択します。」
そして、固定についても公式にはっきり書かれています。「長時間露光でブレずに、明瞭に撮影できるように、iPhoneを硬くて安定した表面に置くか、三脚を使うなど工夫してください」。手持ちでよい、とはどこにも書かれていません。
ここで、正直にお伝えしておくべきことがあります。Appleのこのサポートページには、星や天体についての記載がありません。iPhoneのナイトモードは暗所全般向けの機能として案内されており、「星空モード」のような専用の仕組みは、公式ヘルプからは確認できませんでした。つまりiPhoneで星を撮るときは、上の手順で「最大」に伸ばし、しっかり固定する、という使い方になります。
Androidで星を撮る——Pixelの「天体写真」
こちらはAndroidの中でも、Google Pixelの話です。他社の端末は名称や仕様がまちまちなので、公式ヘルプで確認できたPixelに絞ります。
Pixelには、星空専用の「天体写真」機能があります。Google公式の手順では、夜景モードを開き、夜景モードのコントロールスライダーを「天体写真」までスワイプします。これを選ぶと撮影が始まり、5秒のタイマーが走ります。
押さえておくべき公式の記述が、3つあります。
- 「スタンドや三脚などの安定した場所に固定します。手持ちで撮影しないでください。」(Google公式)
- Pixel 4a(5G)以降では、天体写真機能は1x以上のズーム設定でのみ利用できます。広角(0.5x)にして撮ろうとしても使えません
- 三脚などで固定して準備ができると、シャッターが自動で天体写真モードに切り替わる仕組みもあります
ひとつ、他のAndroid端末をお使いの方へ。Pixel以外の機種にも夜景モードや星空向けの機能を備えたものはありますが、名称や操作は端末ごとに違います。お使いの機種の取扱説明書で「夜景」「星空」「天体」といった語を探してみてください。
フラッシュは必ず切る
これは前の記事でも触れましたが、星空でも同じです。フラッシュがオンのままだと、夜景モードは働きません。Googleの公式ヘルプにも「カメラのフラッシュがオンになっている場合は、自動夜景モードは機能しません」と明記されています。
星空の写真を撮りたいのに、フラッシュが「自動」のままだと、せっかくの機能が使えません。撮る前に、フラッシュのアイコンが「オフ」になっているかを必ず確認してください。
固定の仕方——三脚がなくてもできること
AppleもGoogleも、固定を求めています。理由は単純で、長い露光のあいだにスマホが少しでも動けば、星が点ではなく線になるからです。
ただ、旅先に大きな三脚を持っていくのは大変です。現実的な固定の方法を、確実な順に並べます。
| 方法 | 安定度 | 向き・注意 |
|---|---|---|
| ミニ三脚(スマホホルダー付き) | ◎ | 軽くて持ち運べる。伸縮式なら高さも出せる |
| 硬い地面・岩・ベンチに置く | ○ | Apple公式も「硬くて安定した表面」を推奨。空に向けて角度をつけるときは、小物で支えて動かないようにする |
| 車のボンネットや屋根 | △ | エンジンの振動や人の動きが伝わる。駐車して完全に止まっているときだけ |
| 手で持つ・ひじを固定する | × | 星空では使えない。公式も手持ちを否定している |
固定したら、シャッターボタンを指で押さないことも大切です。押した瞬間にスマホが揺れて、台無しになります。セルフタイマーを使うか、有線イヤホンの音量ボタン、リモコンなどで切ってください。Pixelはシャッターのあとにカウントダウンタイマーが表示される仕組みですが、指を離してから撮影が終わるまで、スマホに触れずに待つ習慣をつけておくと安心です。
うまくいかないときの原因と対策
| 症状 | いちばんありそうな原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 真っ黒で何も写らない | 通常の写真モードのまま/フラッシュがオン | 夜景モード(天体写真)に切り替え、フラッシュをオフにする |
| 星が線のように伸びる・ぼやける | 撮影中にスマホが動いた | 固定し、シャッターを押したあとは触れずに待つ |
| 星がほとんど見えない | 空が明るい/日没からの時間が短い | 暗い場所へ移動し、日没から45〜90分以上待つ(Google公式) |
| ザラザラしている | 暗さに対して、機能が足りていない | ナイトモードを「最大」に伸ばし、固定する。それでも出るなら暗所の限界と割り切る |
| ピントが合わず星がにじむ | 近い光にピントが引かれた | 遠くの明るい星や街灯に一度ピントを合わせてから、構図を決める |
「ザラザラ」についてだけ、正直に書いておきます。暗い場所での撮影は、スマホの小さなセンサーがいちばん苦手とする領域です。設定を詰めても、一眼のようなクリアな星空にはなりません。その限界を知ったうえで、「その場の記録」として十分きれいな1枚を目標にするのが、満足度の高い付き合い方です。
構図のコツ——星だけでなく「前景」を入れる
星空は、星だけを写すと意外と平凡な写真になります。スマホで差がつくのは、前景を入れることです。
- シルエットになる山や木——空の明るさとの対比で、星空が際立ちます
- テントやキャンプの明かり——旅先らしさが出ます。ただし明かりが強すぎると空が負けるので、控えめに
- 人のシルエット——スケール感が伝わります。動かないよう声をかけてください
画面の下3分の1ほどを前景に使い、残りを空にする構図が基本です。水平線が傾かないよう、グリッド線を表示しておくと安心です。
今シーズンの狙い目:12月のふたご座流星群
流れ星そのものはスマホ向きではないと書きましたが、流星群の夜は星空を見に行く絶好の口実です。国立天文台の2026年の天文情報には、こう書かれています。
「12月のふたご座流星群は、月明かりの影響のない良い条件で見られるでしょう。特にふたご座流星群は極大時刻も日本の深夜に重なり、絶好の条件です。」
月明かりがないと、空が暗く保たれます。星空の撮影にとっても有利な条件です。極大の日付と時刻は、国立天文台の発表で必ず確認してから出かけてください(この記事では、確認できていない日付は書きません)。
12月の夜は冷え込みます。スマホは寒さで電池の減りが早くなるので、予備のバッテリーを内ポケットに入れておいてください。寒さと結露の対策は雪・冬景色の撮影ガイドが参考になります。
固定する道具は、軽いものを1つだけ
ここまでで、いちばん効果が大きいのは「固定」だと分かっていただけたと思います。旅先に持っていくなら、軽くて、スマホホルダーが付いた小型の三脚が現実的です。
手のひらに収まるサイズで、バッグの隅に入れても邪魔になりません。星空だけでなく、夜景や自撮りにも使えるので、旅の荷物としての無駄がありません。
機種の買い替えを考えているなら
「最新のiPhoneなら、星空ももっときれいに撮れるのでは」と考える方は多いと思います。ここは、公式に書かれていることと、書かれていないことを分けてお伝えします。
買い替えがはっきり効くのは、iPhone 11より前の機種をお使いの場合です。Apple公式のとおり、ナイトモードはiPhone 11以降にしか搭載されていません。それ以前のモデルには、この記事の手順の中心になる機能そのものがありません。
では最新機種はどうか。Appleの公式仕様では、iPhone 18 Pro/Pro Maxのメインカメラは48MP Fusion、ƒ/1.48〜ƒ/4.0の可変絞りで、第2世代のセンサーシフト光学式手ぶれ補正とナイトモードを備えています。ƒ値が小さいほど取り込める光が多いので、暗い場所では理屈のうえで有利です。
ただし、正直に書いておきます。Appleのサポートページにも仕様ページにも、星空についての性能や専用機能の記載はありません。「最新機種だから星が写る」と言える公式の根拠は、私が確認した範囲にはないということです。また、光学式手ぶれ補正は手持ち撮影を助ける機能で、スマホを固定して撮る星空では、主役になりません。星空の出来を左右するのは、機種よりも先に「暗い場所」と「固定」です。
とはいえ、普段の撮影全体で最新のiPhoneを選ぶ価値は十分にあります。買い替えるなら、次の1台が候補になります。
一方、星空に絞って機能で選ぶなら、公式に専用機能が用意されているのはPixelです。Google公式のヘルプには、夜景モードのスライダーで「天体写真」を選ぶ手順が載っています。この機能はPixel 4a(5G)以降で利用できると書かれているので、現行のPixel 11 Proも対象です。星空の撮影が目的の中心にあるなら、こちらは理にかなった選択です。
ただし、条件はiPhoneと同じです。固定すること、街明かりの少ない場所へ行くこと、日没から45〜90分以上待つこと。機能があっても、これを外すと星は写りません。3機種の比較はスマホカメラ性能ランキングにまとめています。
※価格は2026年9月時点の価格.com最安です。変動するため購入時は最新情報をご確認ください。仕様はApple・Googleの公式サイトの記載に基づきます。
よくある質問
iPhoneで星空は撮れますか?
撮れますが、条件があります。ナイトモードはiPhone 11以降で使え、暗い場所では自動で働きます。Apple公式の手順では、ナイトモードのスライダーを「最大」にして長時間露光にし、iPhoneを硬くて安定した表面に置くか三脚を使うよう案内されています。なお、このAppleのサポートページには星や天体に関する記載はなく、星空専用の機能は公式ヘルプからは確認できませんでした。
Pixelの「天体写真」はどうやって使いますか?
Google公式の手順では、夜景モードを開き、夜景モードのコントロールスライダーを「天体写真」までスワイプします。撮影が始まると5秒のタイマーが走ります。スタンドや三脚などの安定した場所に固定し、手持ちで撮影しないでください。Pixel 4a(5G)以降では、1x以上のズームでのみ利用できます。
星空を撮るのに、何時から始めればいいですか?
Google公式のヘルプには、街の明かりが少ない場所へ移動し、日没から45〜90分以上経ってから撮影するよう書かれています。日が沈んだ直後は空にまだ光が残っていて、どんな機能を使っても星が浮かびません。
星空を撮るときにフラッシュは使っていいですか?
使わないでください。Google公式のヘルプには「カメラのフラッシュがオンになっている場合は、自動夜景モードは機能しません」と記載されています。フラッシュは星に届きませんし、いちばん大事な夜景モードまで無効になってしまいます。
スマホで天の川や流れ星は撮れますか?
天の川は、空がとても暗い場所と、星空向けの機能があれば写る可能性がありますが、一眼ほど暗い星は拾えない傾向があります。流れ星や星の軌跡は、長時間の連続撮影やいつ現れるか分からない被写体なので、スマホには向きません。こうした被写体を狙うなら、カメラのほうが圧倒的に有利です。
三脚がないときはどうすればいいですか?
Apple公式が「硬くて安定した表面に置く」ことを案内しているとおり、岩やベンチなどの硬い場所にスマホを置くだけでも、手持ちよりずっと安定します。空に向けて角度をつけるときは、小物で支えて動かないようにしてください。車のボンネットは振動が伝わるため、完全に停止しているときだけにしてください。
最新のiPhoneなら、星空はもっときれいに撮れますか?
Apple公式の仕様では、iPhone 18 Pro/Pro Maxのメインカメラはƒ/1.48〜ƒ/4.0の可変絞りで、ナイトモードを備えています。ただし、星空についての性能や専用機能の記載は公式に見当たりません。星空の出来は、機種よりも先に「街明かりの少ない場所」と「しっかり固定すること」で決まります。買い替えがはっきり効くのは、ナイトモードのないiPhone 11より前の機種をお使いの場合です。
まとめ
スマホで星空を撮るなら、順番はこうです。①街明かりの少ない場所へ行き、日没から45〜90分以上待つ ②スマホを固定して、手持ちは使わない ③フラッシュを切り、夜景モード(iPhoneはナイトモードを「最大」、Pixelは「天体写真」)で撮る。
そのうえで、満天の星や流れ星はカメラの領域だと割り切る。それが、スマホで星空を楽しむいちばん長続きする方法です。まずは次の晴れた夜、肉眼で星がはっきり見える場所で試してみてください。
Tabi