カメラの仕様に、「防塵防滴」「IP53」「IPX8」と書かれています。雨の日に使えそうだけれど、どこまで大丈夫なのか。「防滴」と「防水」は何が違うのか。レンズも同じなのか。——旅先で急に雨が降ったとき、判断に困ります。
この記事では、OM SYSTEM・ソニー・富士フイルムの公式の情報と、IP等級を定めたJISの規格をもとに、IP等級の読み方、防滴と防水の違い、表示に条件がつく理由、濡れたときの対処、保証の注意を整理しました。
⚠️ 防塵防滴は、「濡れても大丈夫」という保証ではありません。性能や条件は、メーカー・機種・レンズで違います。この記事は一般的な情報です。お使いの機種の取扱説明書で、必ず確認してください。2026年10月時点で確認できた公式の情報をもとにしています。
- IP等級(IP53・IPX8など)の読み方
- 「防滴」と「防水」の違い
- カメラの表示に、条件(レンズの組み合わせ、充電中など)がつく理由
- 雨や結露のときの対処
- 水濡れの故障が、保証の対象外になりやすいこと
💡 この記事は「防塵防滴の基礎知識」に特化しています。雨の日の撮り方は雨の日の撮影ガイド、水に強いコンパクトは防水カメラおすすめ、レインカバーはレインカバーおすすめ5選をご覧ください。
先に結論:防滴は防水ではない。表示には条件がつく
先に、押さえたいことを3つにまとめます。
1. 防滴は、防水ではない。OM SYSTEMのOM-5 Mark IIは、防塵・防滴でIP53です。同じメーカーのTough TG-7は、水深15mの防水(IPX8)と、案内されています。水に沈める使い方ができるのは、防水のほうです。
2. 表示には、条件がつく。OM-5 Mark IIのIP53は、防滴レンズと組み合わせたときの等級で、充電中とHDMI接続中は対象外です。ソニーも、防じん・防滴に配慮した構造だが、ほこりや水滴の浸入を完全に防ぐものではない、としています。
3. 水濡れの故障は、保証の対象外になりやすい。富士フイルムの規約では、冠水・浸水などによる故障は、保証期間内でも有償修理になります。備えは、カメラ保険・延長保証ガイドで整理しています。
IP等級の読み方
IP等級は、「IPコード」とも呼ばれ、電気機器の外郭による保護等級を、決まった形で表す方法です。日本では、JIS C 60529という規格で定められています。日本規格協会によると、この規格は2026年1月20日に制定されました。国際規格のIEC 60529と一致する規格で、これまでの「JIS C 0920」にかわるものです。水の浸入に対する保護等級に、新たに「9」(高圧・高温水噴流)が加わりました。
- IPの後ろの、2つの数字:1つ目は、ほこりなどの固形物に対する保護。2つ目は、水の浸入に対する保護。数字が大きいほど、保護の程度が高くなります。
- 「X」は:その項目の等級を示していない(省略している)という意味です。たとえば、Tough TG-7の防水は「IPX8」、防塵は「IP6X」と、分けて書かれています。
- IP53の例:1つ目が5(ほこりに対する保護)、2つ目が3(水に対する保護)です。OM-5 Mark IIは、この等級に対応しています。
等級の数字は、決まった条件の試験で確かめた結果です。水深や時間など、くわしい試験条件は、規格や、メーカーの取扱説明書で確認してください。
メーカーによる、表示の違い
| 機種・製品 | 公式の表示 | 条件・注意 | 出典 |
|---|---|---|---|
| OM SYSTEM OM-5 Mark II | 防塵・防滴 IP53 | 防滴レンズと組み合わせたときに発揮。IP53レンズならIP53、IPX1レンズならIPX1。充電中・HDMI接続中は対象外。耐低温-10℃ | OM SYSTEM公式 |
| OM SYSTEM Tough TG-7 | 防水 IPX8(水深15m)、防塵 IP6X | 耐衝撃2.1m、耐荷重100kgf、耐低温-10℃もあわせて案内 | OM SYSTEM公式 |
| ソニー α6700 | 「防じん・防滴に配慮した構造」 | ほこりや水滴の浸入を完全に防ぐものではない。IP等級は、確認できなかった | ソニー |
| 富士フイルム WRレンズ | 「小雨が降っている中や、埃の舞う環境下」で使える | 防塵防滴性能を備えたカメラに取り付けた場合。端子キャップ・カバー・蓋をしっかり閉じる。濡れたら速やかに拭き取る | 富士フイルム |
同じ「防塵防滴」でも、IP等級をはっきり書くメーカー(OM SYSTEMなど)と、「配慮した構造」と書くメーカーがあります。等級が書かれていないからといって、劣るとは限りません。ただし、比べるときの目安がないので、使い方は、より慎重に考えてください(筆者の考えです)。
防塵防滴の機種を使うときの注意
- ボディだけでなく、レンズも:OM SYSTEMは、防滴性能は、防滴レンズと組み合わせたときに発揮されるとしています。富士フイルムも、WRレンズは、防塵防滴性能を備えたカメラに取り付けて使うことで、小雨や埃の中で使えると説明しています。
- カバーや蓋を閉じる:富士フイルムは、端子キャップ・カバー・蓋をしっかり閉じるよう案内しています。
- 濡れたら、すぐに拭く:ソニーは、モニターについた水滴を、すぐに柔らかい布で拭き取るよう案内しています。富士フイルムは、濡れたまま長時間使い続けると、内部に水分が入り込むおそれがあるとしています。
- 結露に注意:ソニーの取扱説明書では、寒い場所から暖かい場所へ急に持ち込むと、内部や外部に水滴がつく(結露)としています。結露が起きたときは、電源を切って、約1時間放置してから使うよう、案内されています。
- ダストリダクションは別の機能:OM SYSTEMは、イメージセンサーのゴミを除去する機能は、防塵性能とは別の機能と説明しています。
場面別の目安
| 場面 | 考え方 | 出典 |
|---|---|---|
| 小雨の街歩き・旅 | 防滴のボディと、防滴のレンズを組み合わせる。濡れたら、拭き取る | OM SYSTEM、ソニー、富士フイルム |
| 海辺・川・水しぶきがかかる | 防滴では足りない場合がある。防水のコンパクトか、レインカバーを使う | OM SYSTEM(TG-7)、筆者の考え |
| 雪・本格的な雨 | 防滴ボディ+防滴レンズに、レインカバーを重ねると安心 | 筆者の考え、レインカバーおすすめ5選 |
| 砂ぼこりの多い場所 | カバーを閉じる。砂・泥かぶりは、保証期間内でも有償修理になりうる | 富士フイルム |
| 寒い場所から暖かい屋内へ | 結露が起きる。電源を切って、約1時間放置してから使う | ソニー |
これらは、公式の説明をもとにした目安です。製品の性能を、保証するものではありません。
防滴のミラーレスを試す、旅向けの1台
OM SYSTEMのOM-5 Mark IIは、公式の仕様で、IP53の防塵・防滴と、-10℃の耐低温性能に対応しています。防滴は、同社の防滴レンズとの組み合わせが条件です。動作温度は-10℃〜+40℃、バッテリーとメモリーカードを含む質量は418gです。価格.comの新品最安は、ボディ単体で約11.7万円(117,479円・2026年10月時点)です。
水に沈める使い方をしたい場合は、防水のコンパクト(OM SYSTEMのTough TG-7など)が候補です。防水カメラおすすめで比べています。
よくある質問(FAQ)
「防塵防滴」と「防水」は、同じ意味ですか?
違います。防滴は、雨などの水滴に対する備えです。水に沈めても大丈夫、という意味ではありません。OM SYSTEMの OM-5 Mark II は、防塵・防滴で保護等級IP53に対応する、とされています。一方、同じメーカーのTough TG-7は、水深15mの防水(保護等級8級、IPX8)と案内されています。ソニーの取扱説明書も、防じん・防滴に配慮した構造ですが、ほこりや水滴の浸入を完全に防ぐものではない、と書いています。
「IP53」は、どう読みますか?
IPの後ろの2つの数字を、それぞれ読みます。1つ目は、ほこりなどの固形物に対する保護、2つ目は、水の浸入に対する保護です。数字が大きいほど、保護の程度が高くなります。IP53は、1つ目が5、2つ目が3です。「X」は、その項目の等級を示していない、という意味で、たとえばTough TG-7の防水は「IPX8」と書かれています。
カメラ本体がIP53なら、雨の中で自由に使えますか?
条件があります。OM SYSTEMの公式の仕様では、OM-5 Mark IIの防滴性能は、同社の防滴レンズと組み合わせたときに発揮されます。IP53のレンズならIP53、IPX1のレンズならIPX1になります。充電中とHDMI接続中は対象外です。端子やカバーが開いていても、効果は落ちます。レンズや付け方まで含めて、確認してください。
雨で濡れてしまったら、どうしたらいいですか?
すぐに、乾いた柔らかい布で、水滴を拭き取ってください。ソニーは、モニターに水滴がついたら、すぐに柔らかい布で拭き取るよう案内しています。富士フイルムも、雨などで濡れた場合は、速やかに水滴をふき取って保管するよう案内していて、濡れたまま長時間使い続けると、内部に水分が入り込むおそれがある、としています。
防塵防滴のカメラが、水に濡れて壊れたら、保証されますか?
対象外になる場合があります。富士フイルムの引き取り修理の規約では、落下・衝撃、砂・泥かぶり、冠水・浸水などの取り扱い上の事情で生じた故障は、保証期間内でも有償修理になる、と書かれています。水濡れへの備えは、カメラ保険・延長保証ガイドで整理しています。
まとめ:等級の数字と、条件の両方を見る
- 防滴は、防水ではない。水に沈めるなら、防水のカメラ
- IPの後ろの数字は、1つ目がほこり、2つ目が水
- 等級には条件がつく(レンズの組み合わせ、充電中など)
- 濡れたら、すぐに拭く。水濡れの故障は、保証の対象外になりやすい
最後の1台は、ご自分の旅のスタイルに合わせて決めてください。
Tabi